自然の力を味方に付ける、断熱と遮熱のお話 P2 2010年8月 中西


この二枚の写真は、ドイツの外壁の断熱の実物モデルなのですが、私のでかい顔と比べていただいても、大変な厚み
なのがお分かりだと思います。そして、右の写真の赤丸の部分に着目してください…。
全体は片流れや陸屋根やバルコニーの床部分の断面ですが、赤丸部分は通気層になっておりまして、冬型結露や
夏の逆転結露を防止するために、自然の通気の力を利用している部分です。水蒸気の流れや空気の流れをスムーズに
して、遮熱することにより、その下の断熱材の性能をフルに活かし、構造体を結露から守って長期にわたる性能を確保
することが考えられています。 機械や装置はいつか故障しますが、しっかりとした断熱の性能は、その建物が解体され
て無くなるまで、黙ってその性能を発揮し続けます。 断熱性能も、自然の力の一つなのです。

左の写真は、ノルウェーのオスロ近郊の建築現場で
屋根を作っている工事中の写真です。
私が良く使うデンマーク製のベルックスの天窓が付いて
この上に、日本で言うところのセメント瓦が施工される前の
写真です。それは、野地板なしで施工できる瓦でした。
さて、天窓が付けてあるのは構造としての屋根ではなくて、
屋根上の通気層の上に作られたいわゆる『二重屋根』に
付けられているのです。
上昇気流により、軒天井から入った大量の空気がこの
大きな通気層の中を上昇して遮熱し、頂上の棟換気口
から自然に出ていくのです。
もちろん、その下の構造の屋根は防水してありますので
万が一、屋根瓦から雨漏りしても構造体や断熱材を
濡らすことが無いように配慮されています。
この建物を造っている会社の技術者でもある社長に
『この造り方が普通なんですか?』と聞きましたら
『僕の会社だけでなく、他の会社もこの造り方で屋根は
造っていますよ。』と言う返事でした。

何々を使ったオリジナル工法です! なんて言う営業トークでなくて、
良い工法なのでどこの会社も普通にやっていますよ…。
といった言葉を、わが日本でも普通に聞けることが、住宅と言う耐久性の高い資産には必要ではないかと考えます。
ちょっと急ぎました、自然の力を味方に付ける工法はいくつかありますので、次回はより丁寧にご説明いたします。

弊社でも、遮熱に関して一生懸命に取り組んでいますが、実用新案や特許といった閉鎖的な技術でなく
誰でも使えて、誰でも資材が購入できて、誰でも一定以上の性能が確保できる工法が一番良いと考えています。
ご興味のある方は、柳沢のショールーム=体感ハウスでご説明しますのでどうぞ、ご遠慮なくお越しください。

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