飛騨に、遮熱の快適さを確認する旅に行きました 2010年7月 中西

5年前から、屋根面の夏の暑さ対策をよりレベルアップした施工方法に
変更しようと頑張っています。お客様には、お聞きになるのが面倒な
ご説明はほとんどしていないのですが、日本製やアメリカ製の実績ある
遮熱資材を活用して、北欧の様な二重野地工法や北米と同じアルミ複
合遮熱シート利用の二重通気工法等、様々な施工方法や納まりに取り
組み、データ収集をしてきました。(もちろん、お客様は無償で…)
そんな結果を、温故知新ではないですが、元々の参考にしてきた
飛騨の民家で確認したくて、長期予報を確認して梅雨の暑い日を選び、
体感比較のために行ってきました。

この写真は高山地方の比較的裕福な方の家を飛騨村に移築したもので、
平日の酷暑の日に家の中をを歩き回ろう…なんて酔狂な客はほとんど
居ませんので、一人ゆっくりと体感したり測定したりできます。

当日は、私と伴った両親以外には、アメリカの高校生の団体が来ていた
だけです。どちらの国の高校生も同じで、元気にはしゃいで友人同士で
楽しそうにしゃべりながら見学していました。

さて、その日は7月初旬で本当に暑い日でしたので二日間しかない予定
には好都合でした。
いよいよ結論ですが、弊社の最高の工法ですと負けていません… 
ですが、標準の工法のままでは少なからず差を付けられて負けです。

この地方の60センチ以上の厚さを持つ茅葺の屋根は茅葺の厚みの
中に起こる上昇気流と断熱効果により十分な遮熱性能が存在しており、
家の中を一階から最上階まで歩き回ってみるとその性能の高さに驚か
されます。
もちろん、垂直な壁面の少ない急勾配屋根の多層建築ですので、
通常の二階建ての住宅に比べて非常に有利なのは否めませんが、
傾斜天井で隙間だらけの建築としては、その遮熱性能の高さには
敬服いたします。冬の断熱性能は全く駄目なのですが、夏の太陽の
影響を最小限にする遮熱性能は大した物です。
左の写真のように、屋内に土間床の部分が結構な面積存在しており
ますので、地熱の活用もされております。
息が詰まるような蒸し暑い外気が家に入ってきても、屋内に進んで行くと
体感的に湿度も温度も下がっているのが良く解ります。

三枚目と四枚目の写真の家は、現代の住宅と似ていまして、総2階の
緩い屋根の建築ですが、この家の中ですと上記の合掌造りの様な
遮熱性能は有りませんでした。
私たちが造る家は合掌造りではないので、断熱材だけでは遮熱できな
いことは承知しております。
弊社が今まで磨いてきて持っている遮熱技術の最高水準の施工でない
と『温暖化=猛暑日』の快適さの確保と省エネにはならないと思います。

ご参考までに、40坪程度の家で30〜60万円程度の予算を使いますと、
○二重通気屋根構造=Double Ventilated Roof
○ダブルLow-E2三層ガラスサッシ=Double Low-E2 Triple Glass Window
○換気と循環の空気活用技術=Double Working Ventilator
の三つの技術が組み合わせられますので、お客様にお勧めしてみようと
考えております。
色々と考えさせられる遮熱確認の旅でした。

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