間違った情報

近年はインターネットの普及により、多くの情報がほぼ無料且つ瞬時に手に入るようにな
りました。実際、個人や企業のみならず国交省を含む各種機関も積極的に国内外の情報を
流しておりますが、それらの情報には、多面体を一面だけ眺めて発信している情報が如何
に多いかを感じる事があります。
例えば、私達の業界の話ですと、『米国の住宅の建設費は日本の半分である‥』と言う情報
も旧建設省時代から盛んに喧伝されてきました。でも、私が現地で聞きまわった数字は、
それとは随分かけ離れています。
現在の米国での注文住宅の建設費は、1ドルを95円に換算して日本流の坪単価にすると
70万円/坪以上が中流階級の家の相場ですし、一人前の大工の日当は4万円程度です。
10年前でも50万円/坪程度の金額でしたので、日本の半分などと言うのは、現地のトレー
ラーハウス並みの金額でしかありませんでした。
毎年のように現地に赴き現地のビルダーや不動産業者に幾つもの住宅を案内してもらいな
がら確認した結果ですので非常に現実的な数字です。私達が日常的に設計する注文住宅の
レベルを満たした住宅で、家具を除き全ての設備を含む価格ですと前述の数字となります。
また、その延べ床面積が比較的大きい事と、日本と違い外装の仕上げにあまり金額がかか
らない事を考慮すると、結構良いお値段だな‥と思いませんか?

同じように欧州でも驚く数字を聴くことがあります。
一見省エネが進んでいるように感じるスウェーデンやノルウェーの人達は、家族旅行の時
にも家の電気は着けっ放しですのでエネルギー省は盛んに消すように指導していますし、
裕福な国に思うドイツでは、住宅を購入できる所得層は労働人口の上位二割(その年収は
日本円にして400万円以上)しか存在しないなど、日本にいると間違ってしまう現実が沢
山あります。これは、私だけの勝手な思い違いなのでしょうか。
ちなみに、米国での設計料をしつこく尋ねましたら、打ち合わせや電話での応対も含めて
時給120ドル以上が事務所の請求額だそうです。時給の計算は1分単位で行われ、お客様
も設計事務所側も電話の時であってもその通話時間を記録しているそうです。

世の中、行ってみて聞いてみないと分らない事が沢山ありますね。

2008年シアトル郊外に建つ 三億円相当の家です。


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