2022.03.20 Sunday
今日は、全館空調についてお話しします。
by川崎
当社では、1997年から北米方式の全館空調システムの採用を本格的に
始め、現在までに30件以上のお宅で全館空調システムを設置しております。
全館空調システムとは、1セットの空調機(室内機+室外機)と
断熱ダクトを用いて、家中を冷暖房及び除湿運転する空調システムです。
北米方式全館空調システムのイメージ
※出展 株式会社デンソーソリューション
最近、全館空調の設置から20年以上経ったお客様から、
修理のお話しや買い替えのご相談を受ける事が増えて参りました。
又昨今住宅の断熱性能の向上などから全館空調が見直されている様で、
新築をご検討する方からも必ずと言っていい程、全館空調に
関してのご質問を頂きます。
お話をお聞きしておりますと、機械の良し悪しのみに関心が集まり、
快適な室内空間を創る為の方法を間違ってお考えの方も
いらっしゃいますので、お使いの方の感想なども交えながら、
全館空調のメリット&デメリットをお話しさせて頂きたいと思います。
主なメリット
☆温度差が少なく、廊下や家事室が快適。家事が億劫にならない。
☆吹抜けやLDK一体のオープンな間取りでも、ゆったり寛げる。
☆廊下や洗面所と居室の温度差が少なく、介護や子育ても安心。
☆きれいな空気を常に供給する為、花粉の多い時期も安心。
☆室内は空気の吹出口のみ、室外機も1台なので室内外共すっきり。
主なデメリット
★個別のルームエアコンに比べ、初期コストが高くつく。
★ランニングコストが高くつく。(建物の断熱性能により異なる)
★故障すると家中の冷暖房機能が止まってしまう。
★冬期、家の中が乾燥しやすい。
★ニオイが家中に行き渡ってしまう。
★部屋ごとの温度設定がしにくい。
★部品代や修理代が高い。
◇T様の場合
1996年新築 沼津市
全館空調メーカー デンソーソリューション
(旧ゼネラルエアコンテクニカ)
新築されてから20年程経った頃から、真夏、真冬になり
全館空調システムの負荷が大きくなると故障しがちになり、
何度かメーカーサービス会社に修理をお願いしていましたが、
2021年の夏についにダウンしてしまいました。
前回修理した時に部品の供給で出来なくなる事を
聞いておりましたので、買い替えを決断されました。
とは言え、新築当時はまだよちよち歩きの2人のお子様も
既に独立され、現在はお2人での暮らしですので、
生活環境に合わせた2通りのご提案をいたしました。
1.全館空調システムの入れ替え
断熱ダクトを生かしての全館空調システムの
室内機と室外機の入れ替え(概算金額約280万円)
2.個別エアコンへの転換
全館空調をやめ、リビングと主寝室に個別エアコンの
設置(概算金額約60万円)
最近の個別エアコンは省エネで、更にとても多機能になっています。
全館空調を止めて個別エアコンにする場合、大切なのが家の中の
空気の流れと個別エアコン用の専用電源の配線経路の計画です。
個別エアコンに転換すると、全館空調の時とは外気の導入位置と
空気の流れが大きく変わってしまい、お住まいの方も多少不便に
なる場合があります。
ですので今回も十分に事前の計画を練った上で、
お客様に全館空調から個別エアコンにする場合の注意点などを
ご説明し、その上で今回は個別エアコンへの交換を選択されました。
先日外壁の塗装も行い、リニューアルした写真をアップさせて
頂きました。
◇O様の場合
2002年新築 東京都品川区
全館空調メーカー デンソーソリューション
(旧ゼネラルエアコンテクニカ)
新築されて20年を区切りに、これからの20年を快適に過ごす為
本格的な内外装のメンテナンスをご計画されました。
全館空調の入れ替えもその一つです。
20年間とても快適にお使い頂いており、何度か故障した際も
サービス会社に出張修理してもらい、直ぐに快適な生活に
戻ったそうです。
しかし数年前に製造完了後の部品保有期間が過ぎ、
デンソーから主要部品の供給が出来なくなった為、今後の
システム全体の故障に備え、室内機と室外機の交換を選択されました。
O様のお宅で採用している北米式の全館空調システムでは、
天井裏のスペースに隠ぺいして設置してある室内機と室外機を
セットで交換します。
壁の中を通っていて家中の各部屋に空気を送る断熱ダクトは
そのまま使えますので、壁を剥がすなどの大掛かり工事は
必要ありませんでした。外部の塗装工事と合わせ、
中間期に全館空調機の交換も行いましたので、
ご不便を掛けずに交換する事が出来ました。
エピソード
20年経つと事情が変わり、全館空調メーカーの
ゼネラルエアコンテクニカさんも設置当時は外資系企業だったのが、
トヨタ系のデンソーソリューションに様変わりし、同時に
全館空調システムの設置基準が大幅に変更しておりました。
このお宅でも屋上に設置してある室外機が、現行の設置基準では
地面に設置しなければならないとの事で、メーカーさんと
喧々諤々やりあった事も良い思い出です。
◇K様の場合
2000年新築 沼津市
全館空調メーカー デンソーソリューション
(旧ゼネラルエアコンテクニカ)
K様のお宅は、全館空調システムから個別エアコンに
交換をさせて頂きましたが、家の中で犬を飼っている為、
全館空調の快適さに出来るだけ近づける工夫をした参考例になります。
1.全館全館空調システムをそのまま残し、
送風モードの連続運転をする。
2.2階の全館空調システムの吸込み口(リターン)に
近い部屋に設置したエアコンを、24時間連続運転する。
3.吸込み口から室内機に戻った空調された空気が、
断熱ダクトを通って各室へ供給される。
冬期での交換作業になりましたが、リビングと主寝室、
そしてもう一台のエアコンを上手に使った結果、
全館空調にかなり近い快適さで暮らしているそうです。
今後梅雨の結露や夏の冷房時期にも色々試してみるそうです。
あとがき
便利で快適な全館空調システムですが、メリットとデメリットが
あります。特にデメリットは、メーカーのホームページ等には
中々書かれておりません。
当社では、導入当初は北米のホームビルダーの様に全館空調システムを
自社で施工してきました。長年のノウハウがございますので、
新築、全館空調システムの入れ替え、個別エアコンへの転換等、
全館空調に関する事は何でも、お気軽にお問い合わせください。
(全館空調システム室内機&室外機入替の参考金額 250万円~300万円)