2022年9月9日  谷口 怜

皆様がお感じになっている通り、夏の暑さは年々増しています。私共の家づくりでも夏の暑さ対策となる工法や仕様を日々研究し採用しています。この記事では主に静岡県東部の気温上昇率と遮熱対策「ダブルエアー」についてご紹介します。

20年前の夏の平均気温 2.6℃ 上昇

次の表は気象庁のデータより作成した三島市地点での8月の気温の変化推移です。

2001年と2020年とで比較すると、たった20年で最高気温は1.5℃上昇、日平均気温でなんと2.6℃も上昇しています。一日の気温が平均で2.6℃も上がっていることになります。数字にするとインパクトがありますね。
「昔はエアコン無しでも大丈夫だった」が通用しないことは明らかです。

この傾向をみると今後も更に上昇していくことが想定されますので、数十年先を見据えた家づくりをするためには高気密高断熱なのはもちろん、遮熱対策が更に求められていると考えています。

 

ダブルエアーという遮熱工法

当社ではダブルエアーという遮熱対策の屋根工法をおススメしています。

この工法は屋根を二重にし野地板(屋根の下地合板)の上と下、両側で通気層を設ける工法で空冷により2階の天井に伝わる熱を最小限にすることができます。

ダブルエアー

太陽の熱によって熱せられた通気層の空気が自然と上昇して排出されて、足りなくなった分の空気が自然と軒先から入ってくるようにすることで、屋根下の温度を限りなく外気温に近い温度にするため熱がこもらず、2階の天井に伝わる熱を最小限にします。

当社で標準の小屋裏通気

上の図は、当社で標準としている小屋裏通気です。この小屋裏通気の換気量も基準の3倍量を当社標準としています。

 

ダブルエアーのメリットやデメリット

メリットは屋根下の部屋の暑さ軽減と空調負荷の軽減による省エネです。

メリットは屋根裏の温度が上昇しづらくなることで、屋根下の暑さの軽減ができることです。当社の「沼北体感ハウス」でも採用していますが、真夏にお越し頂くと空調していなくても温度が上がりづらいことが体感できます。当然ですがその分、エアコンの使用量は軽減されます。当社の外張り断熱による高気密高断熱と合せることで、極端に低い温度にせず、28℃程度の設定で十分に涼しく過ごすことができます。

デメリットは初期費用の増加

屋根を二重にするため、材料費や施工費による初期コストがかかることがデメリットといえます。ただし高気密高断熱もそうですが、ダブルエアーも仕組みとして機械を使用しない自然換気を利用していますのでメンテナンス不要です。お住まいになる限り、省エネ効果の恩恵を受けられますので長期的にはお得になります。

 

今後のエネルギーコスト上昇に備える

近年のエネルギーコスト上昇はみなさんご存知の通りで、2021年と2022年の1年間で電気の使用量がかわらなくても電気代が月々、約2000円も上昇しています。様々な要因が指摘されていますが、要因が一つでは無いということは一つ解決しても他の要因が残るため、今後もこの傾向が続くことが予想されます。

省エネなお家づくりには太陽光発電システムを始め、様々な設備がありますが機械設備でない断熱と、このダブルエアー工法は基本的にメンテナンス不要で恩恵を受けることができますので、初期コストはかかるものの、日ごろの生活で省マネーで快適なお家にすることができます。

当社の沼北体感ハウスで体感できます。

当社の3階建て沼北体感ハウスは、このダブルエアーの工法を採用しています。

日当たりの良い上の階をリビングとした住まいは、明るいけど遮熱性が高く真夏でも省エネで快適に過ごすことができます。

ご興味ある方は是非、体感してみて下さい。

 

2022年9月11日  谷口 怜