現在三島市で進行中のリノベーションの現場で屋根の改修がひと段落したので、屋根改修の過程と普段、私が行っている「実施設計」の一部についてご紹介します。

【粘土瓦とスレート瓦の混合葺きだったお家を丈夫なアスファルトシングル材に葺き替え】

元のスレート瓦

※スレート瓦は本当の瓦に似せて成形した石綿スレートで、瓦より軽いのが利点ですが、ひと昔前の物はアスベストを含んでいるため、処分には手間とお金がかかります。

【屋根葺き替えのための実施設計】

実施設計は実際に、このスレート瓦をどのようにして→アスファルトシングルにするかを検討し計画、設計する業務です。(「納めを決める」という言い方をよくします。)

≪実際に検討し作成した納め図≫

今回は軒先のタルキや下地の傷みが進んでいたため、
先端を切り落とし、傷んでいるヶ所を直してから屋根材を葺き替えることにしました。

≪改修前≫ スレート瓦の前に板金桟葺だったようで2重野地板になっていいたが、桟葺きの板金が錆で朽ちてしまっている。

屋根の納めで重要なのは、「軒先(屋根の先端)」や「屋根と屋根がぶつかる箇所(棟・谷」です。
こういった色々な屋根材に応じて「納め」を決め、漏水の防止や、雨樋がキチンと取付られるようにします。

≪改修後≫屋根の軽量化と雨漏りの心配が無くなりました。

 

いかがでしたでしょうか?
「基本設計」(間取りプランやパースの作成する設計業務)と違い「実施設計」は、どんな事をしているのか分かりずらい部分ですが、屋根だけではなく様々な工程で全て納めを考え、構造図作成や構造計算までします。
お家づくりや特にリフォームやリノベーションではとても重要な業務です。

当社が頼んでいる職人さん達はお任せしても、キチンと仕上げてくれますが、頼む我々が、細部まで把握していないと間違いに気づくことすらできませんし、
スマートに仕上がらなくても、文句も言えません。
職人さんの仕事を理解した上で職人さんと打ち合わせすると、職人もいい仕事をしっかりしてくれます。(いくらいい仕事をしても、理解してもらえないとやりがい無く雑な仕事になりますよね。)

全ての専門職人さん達と同等かそれ以上の勉強しなければなりませんが、社長の中西や諸先輩方には「ディテール(詳細の納まり)で全て決まる」と教えられてきたため、今では、職人さん達と対等に打合せして理解してもらえるようになったのではないかと思います。

これからも新しい技術がどんどん出てきて、その度に勉強ですが「お施主さんも、職人さんも、自分たちも納得できる」仕事を続けていきたいと感じます。