ご存知の通り、今では高気密高断熱という言葉が多く宣伝文句として使用されるようになり、当社でもいち早く取り組みを始め試行錯誤の後、2001年から基礎外断熱、2002年頃から外張り断熱を採用し既に150棟を超えました。

 

高気密高断熱の家を手掛ける上で、気を付けなければならないことは多岐にわたりますが、絶対に守らなければ家の寿命を極端に縮めてしまうポイントがあります。それが中途半端な「中気密高断熱」の家にしないことです。

「高気密高断熱を謳った仕様で家づくりをしたけど、床暖房を使わないと寒い!や、なかなか家中が暖まらない、中気密の家だった…」というような業界紙やインターネットの口コミでみかけることがありますが、このようなお家は寿命を縮めてしまうリスクを持っている可能性があります。

※本来、断熱と気密は一体で考える物で、孔だらけのダウンジャケットが、暖かくないのと一緒で本来、気密と断熱はセットで 中気密=否高断熱です。。

※ここでお話しする「中気密高断熱の家」とは、気密をしっかりとれていないのに、断熱材が大量に入っている家のことで、高気密高断熱の施工不良の結果として出来上がる家のことです。

なぜ?「中気密高断熱の家」が家の短命化につながるのか…

答えは、『家にとって大敵である結露を壁の内部で引き起こすから』です。

冬の朝方、窓ガラスに付いた結露した水滴、一度は見たことがあると思います。

これと同じ事が、実は壁の内部で起きることがあります。

 

結露した水滴は、木造なら腐食、鉄骨なら錆びて腐食、コンンクリート造でも中性化を促進し内部の鉄筋にサビが発生し、強度の低下を招きます。

建築に携わる者は、建物が結露しないよう考え続けないとならないまさに大敵です。

結露は、物体と空気(気体)の温度差によって引き起こされます。

コップに入った冷たい飲み物を暖かい部屋に置くとコップの表面で水滴が起きる現象が結露です。

 

では、孔だらけのダウンジャケットのようなお家がどのようなことを引き起こすか、考えてみましょう。

 

次の図は、一般的な充填断熱の外壁の断面です。

 

ダウンジャケットに例えると ダウンの中の綿が断熱材で、気密層が綿を包むポリエチレン等の生地にあたります。

その気密層に孔が空き、湿気が入り込みダウンの綿(断熱材)を湿気させるとどうなるでしょうか?放置すればなかの綿は湿気ていずれカビだらけになるのは想像がつくと思います。

孔の空いた気密層が引き起こす結露のしくみ

湿気の移動の特徴として、「温度が低く狭い所へ移動する」という特徴があります。物がたくさん入った押入の後ろ側などでカビが発生しやすいのはこのためです。

上の図にもある通り、孔の空いた気密層はこの押入と同じような環境を壁の中で引き起こします。孔のあいた気密層から湿気が壁の中へ入り込み、外壁に近い所で冷やされて結露が起きます。また、中途半端な気密は入り込んだ湿気も出ていかず、壁の中に湿気を溜め続けます。

断熱材が大量に入っていればその断熱材が大量に水分を蓄えます。

その結果、壁の中の柱は、木でも鉄骨でもコンクリートであっても腐朽させていきます。

 

外張り断熱は壁内結露の心配が無い。

当社で高断熱高気密化するうえで「外張り断熱」を採用する最大の理由が、壁内結露の心配がほとんど無いためです。

次の図は一般的な外張り断熱工法の壁断面図です。

充填断熱との違いで最大のポイントは、気密層が柱(躯体)より外側にあることです。

外張り断熱は、壁内結露を起こしづらいしくみ

気密層が柱(躯体)の外側になるので、室内と壁の内部は湿度、温度ともに同じになります。見えない壁の内側も、室内の湿度より上がることがありません。

必然的に柱(躯体)が湿気を蓄えることもありません。

 

出来上がると見えなくなる壁の内部ですが、数年後には壁の中が結露でカビたり腐朽してしまうと、室内にもいずれ影響が出て健康被害に繋がります。

 

充填断熱が悪いわけではなく、当社でも採用することはありますが、

充填断熱を採用する場合は、気密をしっかりとることが原則です。

 

中西工務店が外張り断熱を採用する理由

充填断熱工法はダウンジャケットの表面と一緒で、部屋の内側から画びょうやネジを使って物を取り付けるだけでも気密層を突き破ってしまいます。これをずっと気にして住み続けるというのはかなりのストレスですし、ついうっかり忘れてしまう事もあると思います。

住まいはダウンジャケットと違って気軽に買い替えられる物ではありません。

数十年お住まいになるお家で安心して健康に住み続けられる外張り断熱を採用しています。

 

 

 

 

2020年10月9日  谷口 怜