【熱還流率U値から「体感温度」と「室内表面温度」を計算し、快適さを比較する。】
□理由① 体感温度とは?
当社で、アルミ樹脂複合サッシを使わず、オール樹脂サッシや木製サッシを標準採用するには理由があります。
アルミ樹脂複合サッシもガラスの高性能化や樹脂部材を部分的に使う事でかなり性能は向上しています。アルミ樹脂複合サッシで充分という方もおりますので、快適さに直結する「体感温度」、結露に直結する「室内表面温度」の観点から考えを述べたいと思います。
まず初めに、体感温度は一般的に、
体感温度=(室温+表面温度)÷2という式で表されます。
この図の様に冬外気温が0℃の状態で、室内を暖房し20℃を保っているとします。
室内外の温度差が20℃ありますので、室内の熱は外部に向かって逃げていきます。左側の断熱性能の高い住宅で仮に室内の表面温度が18℃とすると体感温度は19℃になり、室温とほとんど変わらない状態になります。
それに比べ右側の断熱性能の低い住宅では、暖房費していても熱がどんどん外に逃げてしまい、仮に表面温度が10℃まで下がってしまうとしたら、体感温度は15℃、断熱性能の高い住宅と同じ室温に保っていても、体感温度は4℃も下ってしまい、大きな快適性の違いとなってしまいます。
断熱性能の低い住宅で体感温度を上げようとすると、室温をどんどん上げていけば、体感温度も上がります。計算上室温を28℃まであげれば、断熱性能の高い住宅と同じに体感温度19℃なりますが、果たして快適な室内になるのでしょうか?
□実証① 室温と表面温度
さてそれでは、今年三島市で新築したお宅の実際のデータを参考にお話しします。
◆建物全体のUA値 0.5W/㎡K(断熱等級5と6の間)
実際には計算以上のデータが取れました。
完成後の実際の温度測定でも、室温22℃の結果を得ています。
□実証② 開口部の表面温度(オール樹脂サッシ)
それでは、同じW様のお宅で実際に使用したオール樹脂サッシの表面温度を計算してみましょう。
となります。
□実証③ 開口部の表面温度(アルミ樹脂複合サッシ)
同様にアルミ樹脂複合サッシで計算してみます。
アルミ樹脂複合サッシの表面温度
とサッシの表面温度を比較してみますと、
◆オール樹脂サッシの表面温度 17.1℃
◆アルミ樹脂複合サッシの表面温度 16.1℃
と差が1℃となります。
□実証④ 深読み
こういった結果から、アルミ樹脂複合サッシでも十分という意見も多いのですが、もう少し深読みして、ガラスとサッシ枠を分解して見てみますと、
深読み比較する
という結果になり、特に枠の部分は、
◆オール樹脂サッシの枠の表面温度⇒16.2℃(ガラス面より1.1℃低下)
◆アルミ樹脂複合サッシの枠の表面温度⇒11.5℃(ガラス面より5.8℃低下)11.5℃まで下がると枠の結露の可能性が一気に高まります。
この様にコスト面では有利なアルミ樹脂複合サッシですが、残念ながら断熱基準の厳しい海外ではほとんど使われておりません。当社でも30年前から海外の断熱基準に合格したオール樹脂サッシと木製サッシを標準採用して、現在に至っております。
窓リノベをご検討する際にも、ガラスの交換のみならず、内窓の設置や外窓の交換をおすすめしております。
特に外窓の交換をする場合には、外壁の張替えや外壁面の断熱補強、耐震補強を含めたリフォーム・リノベーションも検討する方が、費用対効果が上がるケースもございます。総合的な断熱リノベーション、耐震補強をお考えの方はぜひこちらをご覧ください。
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