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【デザイン】化粧シート貼り、無垢材との違いと選定のコツ

ドアや窓枠、床材に使用される内装建材には「化粧シート貼材」「無垢材」「突板仕上材」などがあります。今回はその中でも近年、商品バリエーションも多くなった「化粧シート貼材」について主に「無垢材」との違いをまとめてみました。

化粧シート貼材とは?採用するときのポイント

化粧シート貼材とは、フィルムや樹脂、紙等に木目や柄を印刷したものを合板等の基材に貼り付けた建材のことです。

印刷技術が進んだことで様々な柄や、本物の素材に近い柄が表現できるようになってきました。近年特に色柄のバリエーションが多くなってきていて、フローリングや、室内扉、窓枠など様々な内装建材として使用されています。

化粧シート貼材の造り

次の写真はMDFという基材に化粧シート貼り付けた窓枠材です。

化粧シートは見える部分だけ貼られています、切断面(小口こぐちという)部分が見えてしまう場合には、同色のシールを現場で貼ることになります。ですので一度注文すると、この材料の場合、長さ方向には切断できますが、縦に切ることはできません。使用する面だけを化粧した合理的な材料である反面、現場での調整やカットができない造りになっています。

化粧シート貼材をメインに使用した施工事例

工場生産でき安定生産が見込めるため、価格が安定しているためマンション、アパートも含めて住宅でも広く使用されています。実際には写真のフローリングのように木材に薄い色やグレー系の色を付けるのは技術的に大変なのですが印刷ですので手軽に採用できるのが、デザインする上で大きく変わった点の1つだと思います。

 

化粧シート貼材を使用するときの注意点

結露には要注意

最近のほとんどの化粧シート貼建材は基材にMDFという木材を粉状にして成型した物が使われています。間伐材や廃材を再利用して作られ寸法安定性にも優れ加工しやすい反面、MDFは湿気に非常に弱い素材です。先ほどの切断面から湿気が入りこむとカビや腐食が発生したり、膨れて元の戻らなくなったりする可能性がありますので、窓枠に使用する場合は最低でも結露しない樹脂サッシを採用するといいでしょう。

 

シートの剥がれや色の退色は起こりうる

技術の進歩により接着材も良くなり、印刷技術の向上により紫外線にも強くなりましたが、20年、30年スパンで考慮すれば、シートの剥がれや、色柄の退色(現像された古い写真のように白っぽくなること)は起こるでしょう。

 

家づくりをする場合、色柄は最初によく考えておくこと。

無垢材と違い、工場生産されて色柄までついてくる化粧シート貼材は、後から色を変えたいといっても不可能です。壁紙や床材、ドア、窓枠全てをイメージして着工前に全てを決めなければなりませんので、サンプルや、ショールームでよく質感や色、手触りを確認して決めましょう。

 

無垢材とは?採用するときのポイント

自然の木をそのまま使用している材料で、1つとして同じ木はありませんので唯一無二の質感や柄、雰囲気を楽しむことができます。

 

化粧シート材との大きな違いは、切っても同じ柄の無垢材だということです。万が一補修しなければならない時に、化粧シートの場合、工場が生産しなくなってしまえば同じ物は手に入りませんが、無垢材であれば、ほぼ同じ樹種の物が手に入り補修することができます。

無垢材をメインとした施工事例

無垢材の特徴は、なんといっても経年変化を楽しめるというところです。時を経ても安っぽく感じないのは、常に身近にある自然素材だからでしょうか?タイルや石、鉄(アイアン)などとの相性もとても良いです。施工してから塗装するため、家づくりでは塗装が終わるとガラッと雰囲気が変わります。

無垢材の使用の注意点と採用のコツ

無垢材の経年変化

無垢材は自然素材である木材です。経年による色味や反りなどの変化がおきます。これらをデメリットと捉えるか、味がでてくると捉えるかはまさに人それぞれです。

塗装の色むらが出ることがある

使用する材料にもよりますが、使っている材木により油分を含んでいる部分が色が薄くなったり、逆に吸い込み良い部分だと濃くなったりしますので一つの材料でも多少の色むらが出る場合があります。

色の付いた液体が付くと落すのが大変

化粧シートの表面がビニル系なのと違って無垢材は調味料や、油などが付くと吸い込んでしまい、その部分だけ変化してしまいます。

無垢材を使い慣れてる職人、会社に頼むべき

最近では、無垢材を加工しないでも化粧シート貼材だけで家が建ちますので、普段加工しない大工さんや会社が多くなっています。また昔は大工さんや会社も加工機と呼ばれる無垢材を削ったり、寸法を調整したりする機械を持っていましたが、今では持っている大工さんはほぼなく、会社で持っているのもごく一部です。普段使用していなければ外注に出し値段も高くなりますし、慣れている職人さんの方がキレイな仕事をするのは説明するまでもないですよね。

 

無垢材と化粧シート貼材をミックスした施工事例

化粧シート貼材と無垢材をミックスした施工事例です。

腰壁部分は無垢材で形をデザインしてペンキで仕上げています。無垢材にペンキ仕上というと、せっかくの無垢材の木目を消してしまうのはもったいないという意見もありますが、実際に見てみるとうっすらと木目が見え手触りもよく、なんともいえない高級感がでます。

キッチンの収納扉は化粧シート貼材ですが、横にある飾り棚は無垢材、背面も自然素材の石を貼っています。

 

無垢材と化粧シート貼材は実際に見て触ると質感が大きく違うため、混合して使用する場合は十分気を付けて、素材選定が必要です。一歩間違うとせっかく高い素材を使っているのに違和感のあるチグハグな雰囲気になりかねません。

 

全ての素材は時間と共に劣化しますし、材料によって長短があります。化粧シート貼材も無垢材も材料の特徴を生かした使い方をしたいですね。

 

 

 

2022年12月06日

谷口 怜


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